小早川秀秋と言えば、かの関ヶ原の戦いでの裏切りに至るまでのお粗末な経緯から、マヌケなイメージが強く、創作物でも情けなく描かれがちです。
実際悪人ではないものの弱い性格の持ち主だったようで、関ヶ原の後世間の悪評に耐え切れず、心をひどく病んだ末、2年後に命を落としています。
裏切った者達の祟りで亡くなった、祟りに怯えていたという説もあり、それは単なる後世の誇張ですが、実際に関ヶ原以降、正気とは思えないような行動が目立っていたそうです。
ただ実際は、文献によると彼は酒に溺れていた為、それにより肝臓が蝕まれてしまい、結果として命を縮めることになったのが真実であったようです。
となると異常な行動とやらも、アルコール依存症による幻覚・せん妄のたぐいであったのではないかと合点がいきます。
しかし彼の享年は二十歳そこそこ。アルコール依存症だと平均寿命が50歳くらいになってしまいますが、いくら何でも肝臓が蝕まれるのが早すぎです。
実はこれは、彼が飲酒を始めた年齢に原因があり、それは現代社会の問題にもつながっています。
10代前半で呑み始めるのは、この時代としてはごく当たり前のことだったのですが、問題は彼が異常な飲み方をしていたと云う点にあります。
彼は酒の味を知って以降、素行が乱れ、友達と飲み明かす日々を送るようになったそうです。
そんな生活を続けていれば、当然肝臓にも負担がかかっていきます。
身体が未発達の状態では、大人よりも早く、アルコールによる肝臓のダメージが蓄積されていくのです。
そのため秀秋は、20歳にして肝臓が致命的なほど病む結果になってしまったのです。
肝臓以外にも、他の臓器や血管にも多大な負担をかけます。
室町時代にも、幕府の5代目将軍と9代目将軍が、それぞれ19歳と25歳で早逝してしまいましたが、この二人も文献によると少年時代からの大酒が見られたようで、このうち9代目の義尚の死因は脳溢血と言われています。
彼等のように10代から飲み続けた人間が、20代~30代前半で命を落としてしまう。そういうケースは今も後を絶ちません。
まさに「未成年者飲酒、ダメ、ゼッタイ」なのです。
それにしてもこういう歴史的な事柄を、もっともっと社会全体にクローズアップしていけば、お酒に手を出す少年少女も、少しぐらいは減ってゆくような気がするのですが、いかがでしょうか。